VRコンテンツを「時間軸」で考えてみる


昨年は「VR元年」と言われ、さまざまなデバイスが発売開始されました。「今年はどんな風になるの?」という声もちらほら耳にします。2017年は発売されたデバイスに対してのコンテンツが多く発表され、より利用用途が増えていくものと予想されています。

 

今回はVRコンテンツを企画・制作するにあたり、視覚的に360度見渡せることや没入感ももちろんですが、「未来」、「過去」、「現在」と時間軸でVRコンテンツを考えてみたいと思います。閲覧者側の体験する時間軸のことをイメージしながら、VRをどう利用できるか考えてみます。

【未来を体験】


現在でもそうなのですが、コンテンツを視聴して「○○へ行ってみたい」、「○○を見てみたい」という視聴者側に未来の行動を喚起させるようなコンテンツが今後も多くなってくると思います。

 

例えば、不動産においてのリフォーム、リノベーションや注文住宅などは立地条件を含めると同じものは、現在の時間軸の中にはほぼ存在しません。お客さまがVRを使って「自分のイメージに合うから相談してみよう」、「モデルルームを見に行こう」など住宅メーカーさんなどから発信されるVRコンテンツによって未来志向型の行動喚起に利用します。

 

観光分野も同じ未来志向型だと言えます。「旅行へ行きたい」という要望に対して、お客さまは旅行会社さんなどのVRコンテンツを使って「どこへ行きたいか」という予習しながら、旅行先を選択します。ホテル、旅館などの宿泊先についても同様にVRコンテンツで宿泊部屋を見て、予約をするということもあるかと思います。

 

ビジュアルとして近未来の世界を体験をするといったコンテンツもあるかと思いますが、行動喚起をするために、VRコンテンツを使いながらイメージマッチングを行い、リアルな体験への行動を促すコンテンツが増えそうです。

【過去の体験】


こちらはどちらかというと「思い出喚起型」です。リアルな体験をしたのち、同じ体験をVRコンテンツとして体験させるようなコンテンツになるかと思います。

例えば、旅行時に体験した豊かな自然や貴重な体験などをVRコンテンツ化、旅行後にもう一度同じ体験をVRでしてもらうことによって、自分が体験した「リアルな思い出」がよみがえります。観光分野などでは体験したお客さまから家族、お友だちなどへの体験の共有を促し、リピーターを増加させるような施策に取り入れられそうです。

 

VRはまだ始まったばかりですが、過去コンテンツがアーカイブ化されるとGoogleストリートビューのような「○○年前のこの場所」といった見せ方もできるようになるかと思います。

【現在を共有する】


昨年よりYouTubeでも360度ライブストリーミング配信が可能になるなど、違う場所で同じ時間を共有するといった施策も多く登場しそうです。エンタメ系やスポーツがこれにあたると思います。

 

コンサート会場に行けなかった人向けに特等席からのコンサートをVRで体験する、スポーツをスタジアムに行けない人向けにVRで体験するといった現在進行形で行われているイベントを違う場所からVR視聴するといった施策は多く登場すると思います。

 

現在は画質的に今一歩という感じですが、そう遠くない未来ではVRでイベントを体験することは特別なことではなくなるかもしれません。

 

 

 

VRコンテンツに限った話ではないかと思いますが、視聴者側の時間軸で考えてみると、行ったことがある人がその場所をVRコンテンツでみると「過去」、行ったことない人は「未来」と同じコンテンツでも視聴者側の知識や経験によって感じることが大きく変化することが分かります。

VRは体験重視型になることが多くなると思いますので、目的ははっきりしておいたほうが良さそうですね。

 

また、技術的なところでも静止画に時間を与えるようなコンテンツなども出てくると思います。静止画にはそもそも「時間軸」というものは存在していませんが、VR空間内にさまざまな仕掛けをすることによって静止画に時間軸を付加したり、選択によってストーリーが変わるなんてこともできるような気がします。こういったことがもう少し簡単にできるようになると、スマートフォンを使ったVRでも現在よりインタラクティブ性のあるコンテンツが出てきそうです。

 

制作者側も試行錯誤をしながらVRコンテンツを発表すると思いますが、今年はVRが「どんな利用用途に適しているか」というところがもう少しはっきりしてくるのではないかと思います。

 

 

Posted by Swing運営チーム